この記事の要点
- BCWiseガイドとは:いくつかの質問に答えるだけで、あなたの乳がんの病状に沿う標準治療のパターンをタイムラインで確認できる無料ツールです。登録不要で、スマートフォンでもパソコンでも使えます
- 質問が4つだけの「かんたんモード」と、病理検査の結果を詳しく入力してより正確な結果がわかる「詳細モード」の2つがあります。ホルモン受容体・HER2・しこりの大きさ・リンパ節転移などをもとに治療の流れを表示します
- 結果は「診断」から時間の流れに沿って、手術・放射線療法・内分泌療法・化学療法がどう進むかを色分けしたタイルで表示。横スクロールで最長10年先まで見通せます
- 表示されるのはガイドラインに基づく一般的な標準治療のパターンで、個別の治療推奨ではありません。実際の治療は担当医が総合的に判断するため、必ず担当医と相談のうえで方針を決めてください
目次
乳がんと言われたとき、治療の全体像が見えない不安
「乳がんです」と告げられたとき、多くの方がまず感じるのは大きな不安です。「これからどうなるんだろう」「どんな治療を受けるの?」「期間はどのくらい?」——知りたいことはたくさんあるのに、何を調べればいいかもわからない。そんな状態になるのは、とても自然なことです。 インターネットで調べようとしても、専門用語ばかりで理解しづらかったり、情報が多すぎて何を信じればいいかわからなかったり。病院でもらった説明の紙を見返しても、自分のケースにどれが当てはまるのかピンとこない、ということもあるかもしれません。 そんなときに使っていただきたいのが、BCWiseガイドです。「BCWiseガイド」ってなに?
BCWiseガイドは、いくつかの質問に答えるだけで、あなたの乳がんの病状に沿う標準治療のパターンをタイムラインで確認できる無料ツールです。 「標準治療」とは、たくさんの研究や臨床試験によって効果と安全性が確認された、現時点でもっとも推奨される治療のことです。BCWiseガイドでは、この標準治療がどんな順番で、だいたいどのくらいの期間で進むのかを、わかりやすい図で表示します。 登録は不要で、スマートフォンでもパソコンでも使えます。使い方①:かんたんモード(質問は4つだけ)
BCWiseガイドには「かんたんモード」と「詳細モード」の2つがあります。まずはかんたんモードからご紹介します。 かんたんモードで聞かれるのは、たった4つの質問です。 質問1:ホルモン受容体は陽性ですか? 病理検査の結果にある「ER」や「PgR」という項目です。陽性・陰性・わからない、の3つから選びます。 質問2:HER2は陽性ですか? 同じく病理検査の結果です。HER2というタンパク質が多いかどうかを確認します。 質問3:しこり(腫瘍)の大きさは? 担当医から伝えられた腫瘍の大きさを、「2cm以下」「2〜5cm」「5cm超」から選びます。 質問4:リンパ節転移はありますか? わきの下のリンパ節にがんが広がっているかどうかです。「なし」か「あり」を選びます。 これらの情報は、担当医からの説明や病理検査の報告書に書かれています。もしわからなくても「わからない」を選べるので、安心してください。
使い方②:詳細モード(より正確な結果がわかる)
病理検査の結果をお手元にお持ちの方には、詳細モードがおすすめです。 詳細モードでは、かんたんモードに加えて、以下のような情報を入力します。- ER・PgRそれぞれの判定
- HER2の検査判定
- 組織学的グレード(がん細胞の「顔つき」の悪さの程度)
- リンパ節転移のあるなし、および転移個数
まず自分のタイプを知る乳がんのサブタイプとは?→結果画面の読み方:タイムラインで治療の流れがわかる
質問に答え終わると、あなたの病状に沿った標準治療のタイムラインが表示されます。 タイムラインでは、「診断」から始まって、1か月目、2か月目……と時間の流れに沿って、治療がどう進むかが色分けされたタイルで示されます。それぞれのタイルはクリックすると詳細が表示されます。- 手術——どのタイミングで行われるか
- 放射線療法——手術後にどの期間で行うか
- 内分泌療法(ホルモン療法)——いつから始まり、どのくらい続くか
- 化学療法——必要な場合、どの期間に行われるか

「担当医に確認すべき点」を診察で活用する
結果画面には、タイムラインの下に「担当医に確認すべき点まとめ」というセクションがあります。 ここには、あなたの病状のパターンに応じて、たとえばこんな内容が表示されます。- 温存手術と全摘手術の選択について
- 遺伝子検査(OncotypeDXなど)が推奨される可能性
- 追加の薬物療法の選択肢
大切なこと:これは個別の治療推奨ではありません
BCWiseガイドで表示されるのは、乳がん診療ガイドラインに基づく一般的な標準治療のパターンです。個別の治療を推奨するものではありません。 実際の治療は、画像検査の結果、全身の状態、年齢、ご本人の希望など、さまざまな要素を担当医が総合的に判断して決定されます。BCWiseガイドの結果と、実際に提案される治療が異なることもあります。 必ず担当医とご相談のうえ、治療方針をお決めください。BCWiseガイドは、その相談をより実りあるものにするための「予習ツール」としてお使いいただければと考えています。こんな方におすすめです
- 乳がんと診断されたばかりで、これからの治療の流れを知りたい方
- セカンドオピニオンの前に、標準治療について予備知識を持っておきたい方
- ご家族やパートナーが乳がんと診断され、治療の全体像を理解したい方
- 担当医に何を質問すればいいか整理したい方
教授確認ステータス: 未確認|公開前に医学的内容のチェックをお願いいたします。
参考文献・出典
- 日本乳癌学会『患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版』 jbcs.xsrv.jp
- 国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん 治療」 ganjoho.jp
※ 本記事は上記の公的機関・学会等の情報をもとに、慶應義塾大学医学部 乳腺外科 林田哲 教授が監修しています。最終確認:2026-07-10















